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発表言語 日本語 
発表タイトル iPS細胞由来間葉系幹細胞と骨髄由来間葉系幹細胞の骨芽細胞分化能の比較. 
学会名 第76回日本矯正歯科学会学術大会 
発表形式 ポスター掲示 
発表者・共同発表者 中山 雄司, 橋本 典也, 松本 尚之 
発表年月 2017/10/18 
開催地 札幌市 
学会抄録  
概要 【目的】口唇裂口蓋裂患者への自家骨移植術は、顎裂部の構造の再建に使用されている。しかし、この方法は術後侵襲が大きく、採取できる骨量に限りがあるという欠点がある。現在用いられている自家骨に替わり、今後は細胞を用いた再生医療による安全で確実な骨増生が望まれている。骨髄由来間葉系幹細胞(MSC)は組織工学における再生療法のための有用な細胞ソースであるが、増殖能力に制限があり、必要量採取するには侵襲が大きい。われわれは、これまでiPS細胞からMSC様細胞(MSCLC)を樹立することに成功した。本研究ではさらに骨芽細胞様細胞へと分化させ、MSCから分化させた骨芽細胞様細胞との比較を行うことを目的とした。
【試料および方法】MSCと樹立したMSCLCを、それぞれフローサイトメトリー解析にてMSC特異的マーカーの発現を解析した。MSC、MSCLC細胞をDMEM 低グルコース、10%FBS、10 ng/ml bFGF培地で培養後、DMEM 高グルコース、10%FBS、50 μM アスコルビン酸-2-リン酸、10 mM βグリセロリン酸、100 nM デキサメタゾン、100 ng/ml BMP-2培地に交換し骨芽細胞様細胞への分化誘導を行った。骨芽細胞様細胞への分化の評価は、qRT-PCR、アルカリホスファターゼ活性(ALP)、オステオカルシン(OCN)、アリザリンレッド染色にて行った。
【結果および考察】MSCと樹立したMSCLC細胞のいずれもMSC、MSCLC MSC特異的マーカーの発現を示した。分化誘導した細胞はいずれも骨芽細胞様の形態を呈していた。qRT-PCRにおいて、いずれの細胞も骨芽細胞特異的マーカー(ALP・OCN・RUNX-2・COL1-A1)の発現を確認し、ALP、OCNでも骨芽細胞様細胞への分化を示した。アリザリンレッド染色の結果では、MSCから分化させた骨芽細胞様細胞の方が、より高い石灰化を示した。
【結論】今回の研究では、MSCLC細胞の骨芽細胞への分化が確認できた。一方で、MSCLC細胞は、MSCに比較して骨芽細胞分化能が低いことが明らかとなった。しかし、MSCLC細胞はMSCより増殖能力が高く、MSCと同様に骨芽細胞分化能があるため、MSCLC細胞から分化させた骨芽細胞様細胞は、広域な組織再生医療のための重要なツールになると考えられる。