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論文種別 原著 
記述言語  
表題 in vitro における共培養された正常ヒト皮膚線維芽細胞および正常ヒト臍帯静脈内皮細胞に対する 4-(2-hydroxyethyl)-1-piperazine ethanesulfonic acid の影響 
掲載誌名 日本外傷歯学会雑誌  (ISSN:18800572)
巻(号):頁 11(1):36-45
著者・共著者名 Okamura T, Nishikawa T, Tominaga K, Okusa N, Tanaka A 
発行年月 2015/12 
概要 脱落歯を保存する液に求められる性質は、体液に近い浸透圧、pH緩衝作用、栄養素などが考えられる。市販されている歯の保存液について、それぞれの浸透圧とpH、栄養素の有無に対する保存液のミトコンドリア活性については明らかでない。そこで、今回我々は、各種保存液に組織培養で広く用いられているpH緩衝剤を付加し、培養細胞への影響を生化学的、形態学的に検討した。培養細胞は正常ヒト皮膚線維芽細胞(NHDF)および正常ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)を用いた。これらの細胞を4-(2-hydroxyethyl)-1-piperazine ethanesulfonic acid (HEPES)を、10 mMおよび50 mM の濃度で添加した各種保存液中にて保存し、1, 3および24時間後の生細胞をMTT法で生化学的に検討した。保存24時間後の細胞をDAPI、Calcein-AMおよびEthD-IIIで染色して共焦点レーザー顕微鏡で形態学的に観察した。 体液に比べ浸透圧およびpHが低い溶液、で保存期間を通してHEPES無添加群に比べ添加群のミトコンドリア活性が亢進した。細胞培養液以外の保存液では保存24時間後に細胞膜の破綻を認めた。ミトコンドリア活性の低下および細胞死の両方が体液に対して異なる浸透圧、pHおよび栄養を持つ溶液による保存で誘発されるかもしれない。 保存液の浸透圧は概ね130-350mOsm以下、pHは概ね6.4-8.7が望ましく、保存液にはpH緩衝剤およびアミノ酸を添加する必要性が示唆された。 
DOI